さざ波が砂浜を濡らし、柔らかな熱風が椰子の葉を揺らし、夕日がすべてを覆い、ビロードのような夜が恋人たちを包み込む。
熱帯が悲しいのは、空や海や森や果実が、あまりに美しいからだ。
闘鶏に犬を襲わせる少年、飛べなくなった老スーパーマン、発狂した元ロック歌手――。
単行本(Summer In The City)に収録された5つのストーリーに加え、1989年の短編小説『友達のラリルレロ』(角川グリーティングブック)を収録した、全6編のオリジナル版。