今でも、この作品を書いたときのことは、よく覚えています。書くのが楽しかったからです。こんなに楽しんで小説を書くのはもう2度とないだろうと思いながら書いて、事実、もう2度とありませんでした。
1969年は、わたしにとって特別な年です。そのあとの一生を決めてしまうようなことがたくさん起こりました。「風景も、世界も、変えられる」そう気づいた年でした。
あのころの、独特の空気感を、味わっていただければと思います。表紙アニメーションは、照れることなく、「青春」をイメージしました。楽しんでいただけるとうれしいです。
村上龍