◆ 内部被曝通信 福島・浜通りから ◆

《95》 方向性が定まる大事な年になる 2014年1月2日

新年あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

もうなのか、まだなのか、震災後3回目のお正月です。
2年前の今ごろに比べれば、内部被曝周辺の状況は大きく変わったと改めて感じます。

一番は地域の住民の方々の関心でしょうか。
2011年の夏には、次の年の春までの検診の予約がすぐ埋まりました。毎日100人とか多い施設では300人を夜の9時までフル稼働して検査していたのがずいぶん前のようにも感じます。

南相馬では2012年の秋頃から閑古鳥が鳴くようになり、検査に関わっているスタッフの人数も徐々に縮小し、他の業務にあたるようになりました。アンケートをとり、土日やアクセスの問題が大きいことが分かり、土日も検査を行うような体制ができました。少しは検査にいらっしゃる方が増えたものの、大きくは変わりません。

学校検診としてのシステムも、いくつかの自治体で始まりました。
南相馬では98%程度の小中学生が参加してくれましたが、他の自治体では、学校によっては60%前後のところや、カリキュラムに支障が出る、もう意味がないからやめて欲しい、という意見をいただくことも多くなりました。

保護者の方々へのアンケートでは、全学年を対象に1年ごとに続けて欲しいとおっしゃる方は多いですし、子供に対して県内産の食べ物を使用することに抵抗があり、産地を選ぼうとする方が半数以上なのは変わりません。

その一方で、大人で受診しようとされる方は、もうあまり増えていません。農家や漁師の方が地域でそろって検査を受けたり、子供より大人が検査を受けるたりする方が、より細かな話ができることも多いのですが、難しいところです。

高校生に放射線のことを話しても、なかなか理解が進んでいるとは言いがたいですし、内部被曝や甲状腺癌の一般論を聞いたことがある高校生はほとんどいないと感じます。

大人を対象の説明会も参加人数は減っていますが、質問の内容は2年前と大きく変わりません。いずれにせよ、基礎的なことをもう一度しっかりお伝えしていくことが必要です。

様々な実測に伴うデータが明らかになり、どの程度のリスクか、どういう行動がリスクか分かるようになりました。現状を知るためのサンプリング調査なのであれば、もうこれ以上やる必要はありません。

安心のためなのであれば、検査結果をどう伝えるかとか、その結果からお話をしたりするスタッフが必要ですが、地元の医療者の方でこの対応に関わる方は残念ながら増えていません。一部の医療者に、この負担が大きくかかっている状況にも大きな変化はありません。

時は流れていきますが、論理的に説明できない状況や、まだまだ進んでいないところが多くあります。その中で、ホールボディーカウンター(WBC)やガラスバッジなど、被曝にまつわる検査が、今後どのように継続的に行われるか、進めるならどのように体制を維持するのか、決まっていく時期なのだろうなと感じています。

私自身、一医療者としては、調査では無く、検診の形で、できれば多くの人が定期的に検査を受け、子供たちの検査などはある程度のシステムになって欲しいと思っています。1年に1回とかでいいので、少し自分の健康を顧みたり、知識をブラシュアップする機会として使ってもらえたりすれば、よいと思います。ただ、これは医療者の立場からの意見です。

健康のことをいつも考える人ばかりでは無いでしょうし、結果を見ながらでないと安心して暮らせない、検査を常々受けるよう要請されるような場所に住んでいたいと思う人は少ないと思います。

続ける、続けない、受診する、受診しない、メリット・デメリットがあります。医療的な側面だけで無く、色々な観点から決めるのは、最終的には国でもないし、行政でも無い、地元に住んでいる方々一人ひとりです。

少しドライですが、行政に検査と調査をやらされているという状況なのであれば、もう続けなくてよいと思います。続けるのであれば、いかにシステムを維持し、情報共有や、人員補充を含め協力して取り組まなければならないことはまだ多いのです。

まだまだ復興しておらず、日々の生活が大変な方が多いことも重々承知しています。だいぶん熱が冷めてしまった内部被曝検査およびその周辺ですが、10年後や20年後にどのような検査態勢が維持されているか、又はいないのかなどの方向性が定まってくる、今年は大事な時期なのだろうと思っています。



学校検診の際に、子供たちが検査受ける際に怖くないように、イメージビデオみたいなものを作っています。そのイラストです

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