◆ 内部被曝通信 福島・浜通りから ◆

《80》 多感な高校生と正確な知識 2013年9月17日

相馬高校で高校3年生を対象として放射線に関する授業を行ってきました。

話す内容はいつもと変わりません。放射線とは何か、外部被曝、内部被曝について「今まで行われてきた検査結果から、どのようなことが言えるか」「今後、気をつけるべきことは何か」といった内容を一つずつ説明しました。受験前の追い込みで忙しい時期にも関わらず、1時間半ほどの間、生徒達は真剣に聞いてくれました。

このブログの46回、60回でも紹介しましたが、放射線と放射能の違い、外部被曝と内部被曝といった基本的な語彙を覚えてもらうこと、そして今まで行われてきた検査結果と結びつけ、なぜ自分たちが甲状腺検査を受けているのか、ガラスバッジ、ホールボディーカウンター(WBC)検査を受けている(いた)のか、その結果はどのようになっているかを、丁寧に伝えていく必要があることを強く感じます。

授業中に問題の形で、「レントゲン検査は、外部被曝と内部被曝のどちらですか?」と聞いて正答できる生徒は半分もいません。

実は今回も、授業を行う前に、チェックテスト+アンケートのようなものを受けてもらっていました。

以下のものが外部被曝と内部被曝のどちらに関係するか?

1.レントゲン検査
2.ホールボディーカウンター(WBC)検査
3.ガラスバッジ検査
4.食品検査

正解者は全体の

1.3割弱
2.7割弱
3.7割強
4.7割弱

という結果でした。

とはいえ、時間をかけて丁寧に差を伝えると、ほとんどの生徒がちゃんと答えられるようになります。難しい話ではありません。食品検査は外部と内部どちらの被曝を抑えるためにやっているのか、空間線量の測定やモニタリングポストはどちらの影響を調べるために置いてあるのか?

本当にちょっとしたことを伝えるだけで、雲が晴れたように授業中の食いつきが変わってきます。放射線と放射能の語彙の違いを理解しているのは、約半数にとどまりました。また、人工と自然の放射性物質から出る放射線は体への影響が異なると半分の方が答えていました。もちろん、この答えは「影響は同じ」です。

このような放射線自体の知識に加えて、実際に震災後に行われた検査結果を伝える重要性を再認識しました。内部被曝については、どのような食品に出荷制限がかっているか、そのような食品の継続検査が必要なことは、あまり浸透していません。また、現在の通常のWBC検査で、セシウムを検出する子供がほとんどいないことを知っているのは、全体の1割程度という結果でした。

本当にまだまだ伝わっていません。疑問に思っていることを集中的に質問できるような場が少しあるだけでも良いのだと思います。まずは、何か取っかかりを作ることが必要です。

Xxxを知らない、Xxxが分かっていないから知識を与えるべきである。とはいっても、それだけが大事なことではありません。

「どうせ、がんになるのだと思う」
「2年前のことを今さら教えられても、これまでの被曝は減らない。興味ない」
「10年後、健康でいられるのだろうか?」

自分の健康に対して、投げやりになっていたり、毎日元気に生活しているように見えても、心の中では将来への強い不安を感じたりしている生徒が(多くではないかもしれないのですが)います。

授業自体は安心感を与えたり、不安を取り除いたり、逆に恐怖や警戒心のようなものを伝えるためだけに行われるべきでは無い、と思っています。

一方で、原子力自体の是非を一緒にして議論したり伝えたりしないようにも気をつけるようにしています。個人が不安をもつことは、それ自体が問題ではありません。とすれば、結局できることは、淡々と知識と検査結果を伝えることだけなのかもしれません。難しいです。まだまだ試行錯誤が必要です。

前もって行ったチェックテストの結果に基づき、必要な項目を重点的に話をしました。また来週再度同じチェックテストを行い、どの程度知識が定着しているか先生方と確認する予定です。また後日ご紹介します。

今回の授業は、相馬高校の日高校長、高野先生、高篠先生をはじめとする多くの先生に助けていただくことにより実現しました。この場を借りてお礼申し上げます。



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