◆ 内部被曝通信 福島・浜通りから ◆

《67》 水道水は安全、その理由 2013年6月17日

相馬地方広域水道企業団に行ってきました。福島県相馬市にある水道局/浄水場です。相馬市大野台という仮設住宅が多く並ぶ地域のすぐ裏手の高台の上にあります。

この地域で使われている水は、飯舘村にある真野ダムを水源としています。そこで水がどのように浄化されていくのか、過程を見学させていただきました。

泥やゴミを沈殿させ、そして消毒することで水道水は作られます。濁った水を振動させずにそっと置いておけば泥は下に溜まります。それを効率よく行うため、泥やゴミをお互いにくっつけ、大きな固まりにしてから沈殿させています。

この泥やゴミを、集めて大きな固まりにしてくれるのがPAC(パック)と言われる薬剤です。PACが汚れた水に加えられることで、大きなゴミの固まり(フロックと言います)が形成され、短時間で水に浮いている多くの泥やゴミを沈殿させ、除去することが出来ます。これは今回の原発事故以前から使われている薬剤(特に放射性物質を除去するために使われる薬剤ではない)です。

この地域の上水道から事故直後を除き、ゲルマニウム検出器ですらセシウムが検出されたことはありません。(参照)

この上水道は現在、内部被曝のリスクを考える必要はありません。セシウムなどの放射性物質が検出されるのは上水道ではなく、泥水です。原因は泥であり、セシウムが強く接着している土です。ですので、山間部の家庭で大雨がふった後、近くの川から引っ張っている水道が濁り、その濁った泥水を検査すると数Bq/kgぐらいの検出をすることはあります。繰り返しますが、泥水の話であり、上水道の話ではありません。

「真野ダムから水を引いているにもかかわらず、上水道から放射性物質が検出されないという結果はおかしい」という指摘を受けることがありますが、理由は簡単です。上で述べた、沈殿させた泥やゴミからは放射性物質は検出されます。沈殿した泥を集めて、干して乾燥させて計測すれば、数千~万Bq/kg単位でセシウムを検出します。

逆説的ですが、この泥の汚染が高いということは、その分しっかり上水道から汚染を分離しているということの傍証でもあります。

これらは、粘土とセシウムが強く結合しているから実現していることです。農産物と同様です。しっかり耕し、粘土質にセシウムが十分吸着している状況で、たい肥にカリウムが多い状態を維持してすれば、その土地で作成した農産物の汚染を防ぐことが出来ることにも通じるように思います。

もちろん、検出限界がありますので、「水に0.000001Bqのxxxが……」と言い始めると難しいですが、結果として、上水からセシウムを1Bq/kgクラスで検出することはありません。ストロンチウムも震災前の値と変わらないという結果でした。

現状ではホールボディーカウンター(WBC)の検査結果から、水に気を使う方は、他の食品にも気を使っている方が多い印象があります。原町の結果から言うと、以前はミネラルウォーターを主に使用する方と水道を主に使用する方が半分ずつでしたが、現在では水道を使用される方が7割、ミネラルウォーターを使用される方が3割ぐらいという状況です。

WBCでの検査結果でも、ミネラルウォーターを使っていないと、内部被曝の値が増えているということもありません。ちなみに水道水は食品ではありません。それに対して、ミネラルウォーターは食品です。それぞれに必要とされている検査項目が異なります。東京都水道局の宣伝をJR車中で見かけますが、水道水の方がクリアしなければならない基準項目の数は多いのも事実です。

この基準を見て、改めて放射性物質以外にも色々と気にしなければならない物質があるのだなと感じます。

特に、水道水の使用を推進したいとかいう気持ちがあるわけではありませんが、小学生たちが社会科見学で勉強する行程と同じ行程で勉強させていただき、月並みかもしれませんが、継続的に日常使っている水道水を守るために働いていらっしゃる方がこんなにも多くいる、だからこそ、今のような検査結果になっており、通常の生活を続けることが出来ることを改めて感じました。

小学生達はこのような水道局の他にも、リンゴ農園など、実際に汚染度の低い食べ物を作るにはどうすればよいかを懸命に考えている農家への訪問を行っていました。生徒の感想文を読み、放射能汚染を防ぐためにどのようなことをしているかを学ぶとともに、実際に努力されていらっしゃる姿を直に見て、放射線や放射性物質の理解を深めるとともに、地元への愛着を育んでいることがひしひしと伝わってきました。今後も是非続けて欲しい取り組みだと感じています。



PACが混ぜられた後、ここでフロックを形成して行きます。

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