◆ 内部被曝通信 福島・浜通りから ◆

《62》 二つの被曝データを統一的にみる難しさ 2013年5月13日

南相馬市では外部被曝と内部被曝の線量を付き合わせて調べようという試みが始まっています。ホールボディーカウンター(WBC)による内部被曝のデータと、ガラスバッジによって計測された外部被曝のデータを結合し、トータルの被曝量を評価しようという試みです。

ご存知のように被曝には、外部被曝と内部被曝があり、その両方を計算しなければ被曝全体のリスクの評価をすることが出来ません。「今更なの?」もしくは、「まだやっていなかったの?」という印象を持たれる方も多いかもしれません。

このブログでも紹介させていただきましたが、実施主体が県、基礎自治体、私立病院、個人単位とバラバラです。さらに、個人情報保護の問題が立ちふさがり、あまり大きく進んでいません。

検査を受けても各個人にはガラスバッジの結果およびホールボディーカウンターの結果が、別々に知らされます。各個人がその値を足し合わせ、自分が年間にどの程度、被曝しているかは知ることはできます。以前の結果から自分の値の推移を知ることができます。それぞれの集計結果は別々ですが公表され、大まかな傾向を知ることもできます。

しかし、外部被曝が高い人の内部被曝はどうなのか、その逆は?といった内容は、少なくとも市や市立病院が把握している状況ではありません。トータルの被曝量に基づいた対応ができているかというと、そのような状況でもないのです。

今年の始めごろから、南相馬市ではその突き合わせ作業が進んでいます。いくつかの自治体しか、現状を見聞きしておりませんが、付き合わせるにしても多くの問題が立ちふさがっています。

ガラスバッジ結果の一覧と内部被曝検査結果の一覧を、名前やIDの順番で並べて、「ガチャン」とくっつける(だけの?)簡単な作業のはずですが、うまくいきません。当初、純粋にその方法で計算が可能だったのは全体の80%程度でした。逆に言えば、4000件の検査があれば800件ぐらいのデータがうまく結合できなかったのです。

理由は、色々あります。
自治体によっても理由は大きく異なります。
例えば市の中でも基礎となるデータベースが違っていることがありました。とある自治体ではガラスバッジを学校単位で配布しました。利便性のためです。そのとき使われた基礎データは、いわゆる学校の名簿でした。

するとそれは、自治体が使っているIDとは異なります。住基のIDとも異なります。避難の関係で市外からいらっしゃる方もいます。住民票は別の市町村においていらっしゃる方も少なくないのです。

ある年に中学3年生と登録されていても、次の年には高校生になっています。親の名前でガラスバッジを借りた方もいます。乳幼児の場合は特にそうです。細かいことですが、名前の漢字に旧字体が入っていると、コンピューターがはじき出すことがあります。記入漏れでデータが無いとかも問題になります。

こんなレベルの話は、実際にサービスとして行っている企業から見れば、何とでも対応できる話だろうと思うのですが、特に震災のあった年の検査結果などは困難を極めました。そもそも、こうしたことをする体制が無かったのだろうと認識しています。

少ない人員の中、エラーが出ても繰り返し修正しながら進んでいます。あまりにも膨大な作業量にスタッフが閉口することも多いようですが、頑張ってくれています。ほとんどの突き合わせ作業は手作業になっているのですが、おかげで完了が見えてきました。

これはxxxの仕事だ。そんな声がすぐ聞こえてくるような話です。巷ではマイナンバー制について法制化や議論が進んでいます。メリットとデメリットあり、このような外部被曝と内部被曝のデータを突き合わせることも、やれば風評被害や差別につながる、モルモットだ、やらなければ怠慢、隠している、見せたくないだけ、となってしまいます。

愚痴を言っても仕方ないので、淡々と進めて行けるようお手伝いしたいと思っています。



先日のベラルーシでも、データベースの件は議論になりました。事故直後の情報をいかにまとめることができるか、が重要だということを担当の方からお伺いしました。

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