◆ 内部被曝通信 福島・浜通りから ◆

《28》 思考停止を招く落とし穴 2012年9月15日

先週の日曜日、福島大学で開催された「福島100年構想委員会」の第1回シンポジウムにパネリストとして参加してきました。(http://fukushima100.org/)産業技術総合研究所の中西準子先生、県立医大副学長の山下俊一先生とご一緒させていただきました。

内部被曝検査は、現在の県民健康調査の項目には入っていません。(甲状腺検査は入っています。)また、県主導で行っている内部被曝検査は、県民健康調査の一環ではありません。

我々にとっては、どちらでも関係のない話であるべきなのですが、このことがいくつかの不都合を招いています。

今も内部被曝検査の結果はシーベルトでしか公表されません。未だにベクレルになりません(ベクレルとシーベルトの関係は「ベクレル? or シーベルト?」をご参考ください)。

自治体ごと、時期ごと、食品摂取行動がどのようになっているのかなども、なかなか公表されません。1mSv以下であると伝えられるのみです。

この結果だけでは、出来るだけ安全な食べ物を作るために、農家の方々がされている血のにじむような努力が、最終的にどのような結果を生み出しているのか分かりません。

親御さん達がされている対策が効いているのかもはっきりしません。値の高い人に対する警告を発することも出来ませんし、慢性摂取によって体内量が低下していない人を見つけ出すこともできません。もう2回目の収穫の秋を迎えているのです。

パネルディスカッションにて、山下先生の意見をお聞きしました。チェルノブイリの経験を踏まえて、1回の検査だけではなく、継続的な検査が必要であること。情報公開および、BqとSv問題については、各自治体が独自に検査している状況でプラットフォームが統一されていないこと、誰もリーダーシップをとっていないという問題があること。県がリーダーシップをとって検査を行っていくべきだと考えているとおっしゃっていました。

じゃあ、具体的に何が障害になっていて、誰がどうするのかという話までは進めませんでした。

xx mSvまでが安全で、それ以上は危険、xxが1なのか20なのか100なのか、みたいな神学論争は専門の学者がすればいいと思います。みんなが学者になる必要はありません。

幸い、数値としては爆発的な値でないことは分かってきました。どうすればうまく押さえ込むことが出来るのかも徐々に分かってきています。

必要なのは生活をして行く上での、根拠に基づいた具体的なノウハウ、up to dateな情報、現実的に受診できる病院や、相談できる人間です。希望した場合、どこで、いつ検査できるのか。もし何かあった場合にかかることが出来る病院どこなのか。継続的に検査をするには何が足らないのか、そのリソースを賄うには、どこから得れば良いのか。圧倒的にマンパワーがいる部分があやふやなままです。

「国がやってくれない、県が……」というような固有名詞の入っていない指摘は、いわゆる思考停止ワードだと思っています。何かを指摘しているようで、していません。
xx mSvまで安全とか、過去の文献では……、と続けるのではなく、現実的に今後誰がどこのリソースを使って、継続的に必要な検査、診療を行えるのか真剣に考えるべき時期です。



シンポジウムにて

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