◆ 内部被曝通信 福島・浜通りから ◆

《27》 慢性疾患の悪化が心配! 2012年9月9日

このブログの第20回でも紹介させていただきましたが、今年の7月半ばに相馬市で健康診断がありました。仮設住宅や借り上げ住宅に入居されていらっしゃる方々が対象です。

同時期に相馬市の玉野地区(山側で飯舘村との境のあたり、相馬の中では最も空間線量の高い地区)に居住の方々の健康診断も行われました。今回その結果がまとまり、市のウェブサイトに公表されました。

相馬市では、相馬中央病院にてWBCによる内部被曝検査が今年の6月から始まっており、上記の玉野地区と小学生らの検査が毎日行われています。その結果と併せての発表でした。

結果の概要は以下のようでした。仮設住宅では糖尿病や肥満、高血圧など慢性疾患が悪化していました。残念なことに、予想通りと言わざるをえません。

玉野地区の方々298人(年齢中央値63歳)の結果と、仮設住宅の方々186人(同62歳)を比べると、仮設住宅で「高血圧」と診断されたのは26.5%で、玉野地区の15.8%より約1.7倍多くなっています。「肥満」に当たる方は43%、「糖尿病の疑い」は11.3%が該当し、玉野地区よりそれぞれ約1.3倍、約1.7倍多い数字となっています。

一方、コレステロールが高い方の割合は、この2地区で大きな差はなく、骨粗鬆症は逆に玉野地区の方で多い結果でした。

去年の段階から、慢性疾患が悪化していることは、すでにわかっていました。診療をしていて、今までと同じ薬では血圧を抑えられない、糖尿病を抑えられない方が増えました。

今まで何ともなかった方が、どんどん高血圧糖尿病になるのではなく、今まで境界領域で何とか食事療法や運動療法で対応していた方が抑えられなくなった印象です。

繰り返しになりますが、これらの慢性疾患は心筋梗塞や脳梗塞などの致命的な疾患の発症リスクを大きくあげます。

それに対して、WBCの検査では、玉野地区在住の方を含めて小児全員が検出限界以下、大人では初期被曝の残存の影響もあると思いますが、検出率は他地域よりは多い傾向にありました。しかしながら、全体の値は今までの南相馬市の検査結果と大差ありません。

もちろん、これだけの結果で「線量が高い地域でも、多くの方が元気です。放射能では無くてストレスが問題です」とだけ言い切るつもりはありません。

実際のところ、ある程度は検出されますし、もしかしたら、もともと2つの地区間で糖尿病など罹患率が、もともと違ったという可能性も無いではありません。

ただ、玉野地区の方々は元気でした。去年も玉野地区では健康診断を行いました。医学的でない言葉で表現するのは良くないこと承知で言うと、去年に比べて皆さんの雰囲気が明るかったのが印象的でした。待合室で談笑していたり、健診スタッフと会話したり。

普通の日常生活を続けるということは、簡単なようで難しく、日常生活の変化は、健康に大きな影響を及ぼすことを再認識しました。

継続的に食品の検査はする必要があります。WBCも同様です。慢性疾患予防対策も同様に重要です。

慢性疾患が悪化していることは、もちろん浜通りだけの問題ではないと思います。きっと、宮城や岩手でも浜通り以上に悪化しているだろうと推測します。内部被ばく問題も、慢性疾患に関しても、医学だけではなく、経済、雇用、教育などその範疇を超えて対応しなければならない問題です。もう一度皆で力を合わせる必要があります。



仮設住宅での転倒予防、骨粗鬆症予防に、九州大学から出向して相馬中央病院で働いている整形外科の石井先生が勉強会を始めました。和気あいあいとした1時間でした。地道なことですが、大事です。

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