◆ 内部被曝通信 福島・浜通りから ◆

《125》 元気を取り戻した方が増えているようです 2014年8月26日

7月末、相馬市で仮設住宅にお住まいの方を対象とした健康診断が行われました。2011年から毎年行われており、今年で4回目。毎年野馬追い前後の暑い夏の時期に行われます。通常の血圧、体重、コレステロール、糖尿病などの生活習慣病に加えて、運動不足のチェックを念頭に骨の健康や筋力やバランスなどの体力測定も同時に行っています。1週間ほどで、相馬市の各地区の仮設住宅および山間部の玉野地区を回って行われました。

個人的な経験の話になってしまい恐縮ですが、診察の際に笑顔で接してくれる受診者の方が以前より増えたように感じました。有り体に言えば、より多くの方が元気を取り戻してきているように思います。

運動に関しても、震災前までとは言わずとも、震災直後に比べて改善しており、定期的な運動をしていますか?と訪ねると、「仮設住宅を出て右に曲がって、どこどこを通ってぐるっと回ると何分かかって、それが今の散歩コース。いい汗かけるんだ。」といったような、自分自身の好きな散歩コースや運動法、身体の動かし方の話をしてくれる方が増えたように感じました。行政、医師会の先生、医療関係者、多くの支援団体の皆さんの力に加えて、住民の方々自身のパワーみたいなものを感じます。

まだ今年度の結果集計は出ておらず、病院での外来の経験も踏まえた個人的な印象ですが、全体として肥満、高血圧や高脂血症は徐々に改善しつつある(ただし、降圧薬などを内服している人はやや増えている)と思っています。典型的には震災前60kgだった人が、震災後1,2年は65kgぐらいまで体重が増えて、そのころがピーク。その後、徐々に下がり今年は60kgまで戻っている。血圧は、震災後半年〜一年ごろがピークで10mmHgぐらい高くなり、内服が開始されて、徐々に下がって今は震災前と同様(けれども内服は継続している)――といった案配です。

もちろん、全員がそうではありませんし、相馬市の仮設住宅とほかが同じ状況ではないと思います。3年前に診療の場でお聞きした話と全く同様の話をされる方もいらっしゃいます。診察室で涙されて、話し込む方もいらっしゃいました。しかしながら、仮設住宅だから運動不足で慢性疾患が悪化し、それによって心筋梗塞(こうそく)が、脳梗塞が、といったステレオタイプな話は全体としては当てはまらなくなってきていると感じています。でも、全員の健康が改善したといったらこれも間違いです。いずれにせよ、内部被曝と同じく継続的に見守るのが大事なことに変わりありません。多くの方の中でハイリスク群を見つけて介入を行うのが仕事です。結果が出ればまたご報告したいと思います。

今年も香川県の丸亀から瀬戸健診クリニックのスタッフの皆さんがやってきて、検診を行ってくれました。彼らは、震災直後の2011年4月から相馬市に対する支援を行ってくれています。我々が2011年5月に飯舘村で健診を依頼されたときも助けてくれました。(http://medg.jp/mt/?p=1403 参考)また福岡豊栄会病院から今年も理学療法士の皆さんが、体力測定のためボランティアで駆けつけてくれました。市役所スタッフ、医師会の先生、全国から手伝いに来てくれた医療スタッフのおかげで今年も無事に終了することができました。この場を借りてお礼申し上げます。



香川県から毎年来てくれている検診車。この中でレントゲンなど撮影します。



体力測定のための台です。ここのどれかの高さに座って、手を使わず片足で立ち上がります。僕は筋力がないので30cmでもつらいです。

→アーカイブ一覧へ