◆ 内部被曝通信 福島・浜通りから ◆

《118》 セシウム値が高めの人の検討結果 2014年6月24日

ひらた中央病院と南相馬市立総合病院での内部被曝検査で、セシウム値の比較的高かった方の詳細についてまとめた報告が、Plos oneに掲載されました。内容としてはすでに公表されていますが、何人かの専門家のチェック(査読)を受け、論文として発表しました。

http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0100302

対象となったのは、2012年3月〜2013年3月の一年間に検査にいらっしゃった30662人。南相馬市民、ひらた中央病院にいらっしゃった郡山やいわきの方、茨城県の方などが含まれています。県のホームページを参考にすると、同時期に福島県内で行われた検査を受けた方の20%程度を占めると思われます。このうち、セシウム137が50Bq/kg以上であった方について検討しました。

結論としては、いつもお話していることと変わりません。

• 事故後1年の時点で、ほとんどの方から放射性セシウムは検出されなかった(30000人強の検査の中で97%以上の方はセシウムを検出しませんでした)。
• しかしながら、一部に相対的に高い値を検出する方がいらっしゃる(いわゆるロングテール。今回のように50Bq/kg以上とするなら、9名〈0.03%〉。家族単位で検出することが多く、男性の方が高い値になることが多い)。
• その方は出荷制限のかかった汚染食品を未検査の状態で継続的に食べている(露地物のキノコ類や山菜、獣肉類などが多い。汚染はいくつかの食品に集中して起きている)。
• ただ、そのようなセシウムの比較的高い方でも、年間の追加被曝は1mSvかそれ以下程度と計算される(セシウム137が数万Bq/bodyで初めて年間1mSvに到達する。よほど汚染された食品を選択的に食べない限り、そんな値にはならない)。

ということになると思います。地元の方とお話ししていて、付け加えることがあるとすれば以下の2点かと思っています。

1点目は、セシウム137が50Bq/kgを超えるような方とお話すると、ほぼ間違いなく食生活にその原因を特定できる。裏を返せば、普通に流通しているものを食べて生活している方、または汚染食品を選択的に食べていない方では、セシウムの値が高くなる方はいなかった、ということです。空気からセシウムを大量に吸うとお考えになる方もいらっしゃいますが、現実のデータはそうはなっていません。内部汚染が起こりうる経路が、出荷制限のかかった汚染食品を未検査で、継続的に食べることに限られていることも示されています。そのような食材のしっかりした流通管理が重要です。

2点目は、最も値の高かった方でも、1mSvに到達するかどうかぐらいの値にしかならない、ということです。地元のおじいさんおばあさんと話をしていると「露地物のキノコを食べるとすさまじい被曝をする」とお考えの方が多いようですが、そのようなことはありません。そして、こうした食品を積極的に食べてくださいなんて言うつもりは全くありませんが、食生活の制限によって栄養面が悪化したりストレスが増したり、生活が不活発になったりするようなら、どちらが問題になるかは明らかです。ただ、これは「子どもにはこれ以上被曝させたくない」と考えるお母さんの気持ちには全く反することなので、表現が難しいです。

セシウム値が比較的高く、希望する方には外来で採血や心電図の検査を行っていますが、原因不明の貧血や鼻血、心電図異常などは全くありません。数万Bqという万の単位と1mSvと、これは単位が異なりますが桁が違いすぎるのでなかなかしっくりこない方も多いと感じます。少しずつ続けてお伝えしていくしかありません。

データは一部だけ切り出せば、どちらの方向であれ自分の都合の良い方向にいくらでも主張できるものです。今回のデータが全てではありませんが、是非今後のための冷静な議論の土台になってくれればと思います。



埼玉大学で理学部の学生さん対象に、南相馬市の石川建設の石川さんとともに話をしてきました。石川さんはまだまだ復旧が進んでいない現状や、仮設住宅で生活されていらっしゃる方の話をされていました。

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