◆ 内部被曝通信 福島・浜通りから ◆

《100》 被曝検査の質を保つために必要なこと 2014年2月4日

早いものでもう100回目です。
先日の朝、ホールボディーカウンター(WBC)を使って検査をしていると、下のような結果が得られました。



向かって右側に山のような出っ張りが二つあります。普通は放射性カリウムの山、一つだけです。ご存じの方は「ああ、なんだ」という結果なのですが、ピークの位置がずれてしまったのです。その理由を説明します。

WBCには、人から出る微量の放射線を検知できる検知器が搭載されています。放射性物質は環境中どこにでも存在しますが、例えば人体の中には放射性カリウムという放射性物質が存在します。

ストロンチウムは半減期が長く、ベータ線を出すから問題とだけ繰り返す方がいらっしゃいますが、放射性カリウムの半減期はそれを遙かに凌駕する12億年、ベータ線も放出します。

くどいようですが、存在するか否か、ではなくその量の問題です。

話が逸れました。WBCの検知器は、人体から発せられる微量の放射線を検知します。放射性物質の種類によって発せられる放射線のエネルギーが異なり、そのエネルギーを見分けることによって、逆にどんな放射性物質が体の中にあるかを見分けるわけです。

1460のエネルギーを持つ放射線だと放射性カリウムと判定したり、794とか660などのエネルギーだと放射性セシウムと判定したり、といった具合です。そして、その1460がどれだけ飛んできたかによって、逆に体内にどの程度の放射性カリウムが存在するかを計算します。

たくさん飛んでくると、検査結果ではその部分に大きな山(ピーク)ができます。体重によって大きさは異なりますが、人を測れば放射性カリウムを示す位置にピークが見えます。通常であれば、上図の右側の山のあたりです。

現在使っているWBCは、人が立ったままで検査するタイプのものですが、この器械には検知器が2つ搭載されています。体の上側と下側にそれぞれあります。2つの検出器の結果を足し合わせて、最終的な結果を作ります(ベビースキャンでは、これが4つあります)。

正確な結果を出すためには、1460が飛んできた場合、上側と下側の検出器が双方とも「1460が飛んできた」と判定する必要があります。その判定がずれたため、上図のような結果になりました。上側が1000ぐらい、下側が1450と判定したためです。その結果を足し合わせて2つの山ができてしまっています。

なぜ判定がずれたのか。その理由は停電でした。この検査をした前の日の晩に、風が強くて何度も病院を含め周囲一帯が停電しました。もちろん自家発電システムを持っているのですが、他にも重要な器械がありますので、そちらに回していました。一旦電源をオフにすると、立ち上げて直ぐに計測ができるかというとそうではありません。安定するのに起動から数時間かかります。

この日も朝には電気は戻っていたのですが、結果が安定するのに数時間以上かかりました。電気だけでは無く、温度変化でもこの判定はずれます。ですので、冬はエアコンなどをつけっぱなしにしたりして室温を一定に保ちます。

もちろん確認の手段が何も無い訳ではありません。毎朝、あらかじめ決まった放射線源を器械の中に貼り付けます。それを使って、660を660と判定できるように、器械の微調整を毎日行うことになっています。温度変化の強い日には朝と夕で確認することもあります。

放射性物質を扱う方からすれば、何を今さらという話だとは思います。ですが、検査する人が入れ替わり、また一方でルーチン化されて行くに従って、質の管理や情報の共有が本当に重要なのです。検査の質を一定以上に保つためにも、現場間での情報共有を進めていきたいと思っています。

100回目なので、何か区切りのいいことでも書ければと思いましたが、いつも通りの感じになってしまいました。今後もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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